実録 蘇生した介護老人

第21話 移転先探し -実録 蘇生した介護老人-

移転先探し

老健施設から出ていく移転先を探すときの私の希望条件は、相互矛盾があるものの次のように掲げてみた。

① 部屋代、食費、光熱費、共益費等を含む基本料金月額は14万円が限度
私の年金手取り額は月当たり18万円代のところ、介護付き老人ホームに住むことになれば、基本料金のほかホーム利用料の自己負担(1割分)2~3万円の支払と1~2万円の小遣い銭の所要を見込んだ。

② 3食付き、介護付き、リハビリ訓練が可能
古川トレーナーからは独り立ち可能と誉められ、彼が住んでいるマンションの紹介を受けかかったが、私は最早自炊する能力・資力はないと自認した。

③ 外出の自由性
前の施設がトレーナーの付き添い無しでは外に出られない籠の鳥(それはプリズンより劣る)の生活から、制限付きであっても外出可能を願望していた。

④ 近辺にスーパー、カフェ、銀行、飲み屋、鉄道の駅又はバス停がある所住居から徒歩10分ぐらいでこれらにアクセス出来る所を求めた。

⑤社会的な会話が出来る仲間がいること
施設では隣人と会話するには話題の中身が伴わずストレスが溜まる一方だった。

友人達への手紙では汚らしい手書きになるし、これらの条件を羅列することは事務的依頼になり相手を当惑させることになると考え簡単にしたので、貰った情報は普通のマンションやアパートが多く、採択出来なかった。後でお詫びと謝辞を送った。妹は、20数年の知己の病院長が常時いる特養ホームYを挙げてきたが、特養は、現在は高度認知症のお客に特化していることを私の方が知っていた。

  二人の息子には上記の条件を付けたので、候補にできる介護付き老人ホームの情報がそれぞれから送られてきた。一つがホームローズであり、他の一つが、静岡県焼津市のホームだった。前者の基本料は14万円台であり、後者は12万円台だった。インターネットで観ると共に息子達にも聞いたところ、入居資格は、前者が要支援1以上、後者は介護度1以上という差があることが分かった。 

  一方、後者は保証人が付添わない限り外出が不可能に比して、前者は、始めは制限があるにしても徐々に独り歩きの範囲を広げるという余地が伝えられた。これらの相違の結果、基本料金の不利をもってしても前者を選定することにメリットを感じた。因みに、私は要介護度5から要支援度2に下がるものとの期待をしていたという点もあったのだ。  ホームローズの副施設長の洲本さんが施設Cまで来てホーム生活の説明をしてくれ、入所が決まった。

 

著者プロフィール

大山 Tak 卓 1931年生まれ。

介護ホームローズ(仮名)入居者。東京大学法学部卒。国税庁入庁(大蔵事務官)、税務署長。エッソ石油(現エクソンモービル社子会社)税務部に転職、東京及びニューヨーク本社在勤。その後、ファイナンス会社数社の経営に参画。対米、カナダ、香港の投・融資・契約業務実施。国際経営コンサルタント。

編集者:野口 Kao 廣太。1986年生まれ。介護ホームローズ(仮名)施設長。理学療法士。デンマーク国立Egmont校卒。スヌーズレン施設設立。教員アシスタント。デンマーク福祉施設にて障碍者、高齢者への支援を実施。

 

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ABOUT ME
堀田慎一
経営コンサルタント/MBA/大阪市立大学大学院非常勤講師 1992年より2015年まで大手経営コンサルティング会社にて勤務。うち2002年から2005年まで一般財団法人医療経済研究・社会保障福祉協会医療経済研究機構にて勤務。2016年より一般社団法人国際福祉医療経営者支援協会代表理事。